2019年 特別救急隊・命の絆 FILE-6

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 「86歳代の女性、窒息です。顔色が悪い。意識がありません。」との通報内容で所轄救急隊と特別救急隊が出動しました。
 先着の所轄救急隊が傷病者を観察すると、居室内の椅子に座った状態で、心肺停止状態であったため、床に移動させ心肺蘇生法を開始しました。家族に状況を確認すると「食事中に食物を喉に詰めたため、すぐに119番通報を行い、口頭指導に従い背部叩打(異物除去)を実施したが、異物の排出はなく、徐々に意識がなくなっていった。」とのことでした。家族の口述から窒息したことが強く疑われ、所轄救急隊救命士が窒息の原因となった食物を吸引器などで除去しました。その結果、空気の通り道が確保され人工呼吸が可能となりました。その後、所轄救命士が点滴処置、後着の特別救急隊同乗医師が気管挿管を実施したところ、直後に自己心拍及び自発呼吸が再開しました。呼吸の補助を行いながら救急車内へ搬出となり、自己心拍が再開した時点では血液中に含まれる酸素の数値(血中酸素飽和度)は低く、危険な状態でありましたが、その数値が徐々に改善しました。医師の指示のもと呼吸の補助を継続しながら三島救命救急センターへ搬送となり、同センターでの懸命な治療により傷病者は順調に回復し、6日後には二次病院へ転院となりました。
 本事案は、窒息の早期認識及び早期通報、救急隊及び医師の的確な処置及び搬送、病院による心拍再開後の集中治療により、尊い命が救われ社会復帰した事例と考えます。